蛇毒すらも制するシャナーサ王家の方だけに、ライザール様は熱心に耳を傾けてくださった。
「白蛇の化身である白娘子こそ皇驪様が愛してやまないものです。私を白娘子として親しみをもって接してくださいました。ご自分で絵筆もとられるんですよ?滞在中はモデルもさせていただきましたわ」
あの方は趣味全開というか、まったく隠されていないからもしお会いになればすぐに判明することだった。
「ほう?お前を白娘子と慕うか・・皇驪殿のことは私も聞き及んでいるがずいぶん浮世離れした方らしい」
私も初めはそう思った。けれどあれは優しい彼なりの現実逃避だったのかもしれない。
もちろん皇驪様にとって白娘子が理想の女人だったのは本当でしょうけど。
誰よりも聡明で人の心の機微に敏い方だからこそ、皇后や皇帝のおられる後宮で起きる不穏な出来事を察しながらも家族が傷つくことを恐れてどうすることもできず無力感に苛まれていた。
もし皇驪様の苦悩を察したら皇后さまはさらに苦悩されただろう。それをあの方はなにより恐れておいでだった。