やがて夕食の時間も終わり、私達は連れ立って部屋へと戻った。
部屋の前で別れる直前、ライザール様が立ち止まるとおっしゃった。
「今夜だが具合が悪いなら無理をしなくていい・・」
体調を気遣ってくださるのは嬉しかったけど、これは恋煩いだから処方薬は一つだけだわ。
「いえ、今夜もお伺いしますから。ではまた後程」
深夜に意中の方に密会できる機会をふいにはできないもの。
私を窺っていたライザール様は嘆息された後頷かれた。
「わかった。ではまた・・待っているぞ、シリーン」
微笑んで頷き返すとやっと安堵したのかライザール様は立ち去った。
その背が見えなくなるまで見送った私は部屋へと戻る。
ああ、なんて悩ましいのかしら
これが恋・・
一目ぼれなんてあるはずないって思ってたのに・・
四六時中相手のことが気にかかり気づいたら姿を求めて探してしまい、夢にまで見てしまう・・
まさに寝ても覚めてもな状態だった。
初恋のルト以降抱いたことのない想いをライザール様に抱くようになるなんて・・
ただの身代わりなのに・・・バカだわ私
きっとこの想いは迷惑になってしまうわね
それに・・ライザール様は素敵な方だわ。ルトの身代わりだなんて思うのは失礼でしょう?
だけどやっぱり惹かれてしまうのは、お二人には共通点があるためかもしれない。
なにも琥珀色の瞳だけではないわ、大らかで面倒見の良い兄貴肌のところや、野性的で行動力があり、理知的で博識で知性的な一面もある・・
考えてみれば考えるほど似てるわ・・
外見だけじゃなくて内面もね
・・・つまり私の好みのタイプってことになるのかしら?
ああ!あの方に選ばれる方が羨ましいって初めて実感してしまう。