揺らぐことになるなんて思わなかった

 

追憶の彼方のルトはあの頃のままだったけど・・

ルトの生存は信じていても彼がまだ私のことを覚えていてくれるかもわからない。

 

出会った時すでに大人だった彼はあの時からすでに遠い人でもあったから。

 

私のことなんてとっくに忘れてしまったかも・・そう思えば切なかった。

 

だけど同時にこうも思う。もしルトと再会できたとしても、私が恋したルトとはすっかり変わってしまっていたらその変化を受け入れることができるだろうか、ということ。

 

憧れは憧れのままでいた方が美しい思い出のままでいられるのかもしれない。

 

私だってあの頃のような無垢な少女のままではない。

も、もちろん男性経験はないけれどあせる一応カマルの凄腕の密偵なわけだし・・

 

イメージと違うって言われるかもしれないわ

 

心のどこかでライザール様がルトだったらいいのになんて虫のいいことすら考えてしまえる自分がいた。

 

・・・そんなはずないのにねショボーン

 

それどころかライザール様の存在感が増すほど私の中でルトへの想いが幻のように消えそうになってしまうのが怖かったのかもしれない。

 

元々王宮に来たのはルトを探すチャンスだと考えていたはずなのに、あの謁見の間でライザール様にお会いした瞬間から今までルトを探すことはなかったのだから。

 

それほどまでにライザール様に心を掻き乱されて惹かれているなんて・・

 

でも私が彼の傍に侍ることを許されるのは1週間だけ。

 

まさに仮初の婚約者でしかなかった。