それから会議に戻られる王と噴水の間で別れて、私はいったん部屋に戻ることにした。
夜更かしのためにお昼寝しておかないとね。
お忙しい王との時間を欲するのならば、すれ違わぬようにスケジュールの調整は必須だった。
部屋に戻り続き部屋のドアを窺う。
「・・・・」
昨日就寝中に感じた気配をふと思い出す
もし私が眠っている間に王がこちらにお渡りになっていたら・・
ドアに細工をしておけば確かめることができるけど・・・
やめておきましょう
もしそうだとしても別に構わないもの・・
それに王の御心を試すようなことはしたくないわ
昨日同様部屋着に着替えた後、寝台に潜り込むとすぐに眠りが訪れた。
やがてドアが開く音がして気配を感じたけれど私は夢うつつの中だった。
「シリーン・・・やはりお前は私が愛したシリーンのままだった。もし叶うならばこれからもずっと・・・お前と共に・・」
ちゅっ
額に触れる優しい唇の感触がした
無意識であっても心を許した方ならば構わなかった
やがて気配は去り私は再び深い眠りへと誘われたのだった。
――ルト・・私貴方がずっと好きだったのよ
セピア色の思い出にひたれる甘く切ない夢を見た気がしたが、侍女に起こされた時には疲労はすっかり取れていた。
きっとライザール様のマッサージのおかげだわ。