「でもお一人寝されているのでしょう?意外です」
だからついそう言ったらライザール様はばつが悪そうな顔をなさった。
「好きで一人で寝ているわけではない。滅多な相手を寝台に連れ込むわけにはいかないからな。そんな無防備では命がいくつあっても足りない」
やはり暗殺を恐れてらっしゃるのね。私も密偵をしているからそういった噂は漏れ聞こえてくるがなかなか壮絶らしい。
王が用心されるのもしかたないわね。
「では私は合格ですね」
昨夜は何もなかったとはいえ一応寝台に招かれたわけだし。
何気なくそう言ったらライザール様は上機嫌で頷いてくれた。
「もちろんだ。昨夜はなかなか楽しかったぞ。女人との会話が楽しいことなど滅多にないが・・・今夜も待っているぞ、シリーン」
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王も楽しいと思っていてくださったなんて嬉しい。でもそんな誘惑の眼差しで見ないで・・・ますます抗えなくなりそうな予感がした。
昼食後はライザール様に誘われて中庭を散策した。
午前中一杯内見したから足が疲れてしまったけど、王も気を使われたのか噴水の縁に腰掛けながら休憩することにした。
「すまない、無理をさせたようだ。大丈夫か・・?」
靴を脱ぎ、素足を晒すのは気が引けたが王は構わずその場に跪き私の足を触診された。
それから噴水で絞った手ぬぐいを足に当てて下さり、手ずからマッサージまでしようとなさったのでさすがの私も慌ててしまった。
そんなこと王にしていただくわけには!
嫌だったわけではないの。むしろ気遣ってくれる王の優しさが嬉しかったし、触れられることに対するときめきすら感じていた。