親方に礼を言い別れた後、ライザール様の待つ広間へと向かった。
「ああ、シリーンどうだ?楽しめたか?」
まるでテーマパークを一巡りしたみたいに気分転換できたけれど、それがライザール王の狙いだったのね。
「ええ、とても!素晴らしい出来栄えでした」
昼食はクスクスを添えたラム肉のシチューとレンズ豆のサラダだった。
デザートは菫の砂糖漬けをトッピングしたアイスクリームね、嬉しい。(アイスはさすがに冷えていたわ)
共に食事をとりながら、意見を出し合う。ほぼ完ぺきだったけれど、個人的な嗜好を少しだけ反映させた方が喜ばれるだろうから。
それにしてもわずか1週間の滞在のためだけに王宮内を改装されるなんて、恐らく豊かさを他国の者達に知らしめる意図があるのでしょうけど。招待された者たちが帰国後報告すれば評判はさらにあがるだろう。
・・・もしかすると私の部屋もそうなのかしら?
この際だからお伺いしてみたら、返ってきたのは予想通りの答えだった。
「ああ、元は私の部屋だったのだが、どうせ私は使わないしちょうどいいと思ったんだ。ハレムはすでに閉鎖しているから、妻になる女ならば傍にいた方がなにかといいだろう?なんなら一緒に寝てもいいしな」
まあ、ライザール様ったら
そりゃあ下心は当然あるわよね。でもなにかしら・・この方って思った以上に愛妻家になりそうな気がするわ
・・もしかして寂しがり屋なのかしら?
昨夜だって鬱陶しがるでもなく私を部屋に招いてくださったし・・