手持ちのネックレスのペンダントトップを外して代わりに鍵を通して身に着ける。
それからお化粧を落とし洗面を済ませた後、侍女の手を借りずに夜着に着替えるとそのまま寝台に入った。
寝つきはいい方なのに昼間に仮眠をとったせいかなかなか寝付けない。
部屋の明かりは入り口に設置された燭台だけで枕元のランプも消えていた。
徐々に目が慣れてきて寝返りを打った時、続き部屋のドアが目に入った。
ドアの隙間からは明かりが洩れており、中で歩き回る気配がした。
耳をすませば足音も聞こえた。
ライザール様はまだ起きて活動をされているようだ。
昼間私のために時間を割いたからかもしれないわ。
王の政務は多忙を極めると聞くもの。
替え玉を依頼されたのが王であってもやはり心苦しかった。
昼間見た王の私室の間取りを思い浮かべながら足音に耳を澄ます。
書棚や書斎を行ったり来たりしているのだろうか。
やがて足音が止まった。
寝台かソファに腰掛けられたのだろう。
・・書類に埋もれたライザール様が目に浮かぶわね