私も周囲を警戒しながらベールをつけた。侍女は事情を知っているみたいだけどやはり注意は必要だろう。
呆然と廊下に佇んだまま彼を見送り、早鐘を打つ胸を押さえながら先ほどのことを思い返す。
これまで誰にも唇を許してこなかったけれど、はたしてこれでよかったのだろうか?
嫌じゃなかったのに・・ふとそう思っている自分に気づきドキリとしてしまう。
あの琥珀色の瞳のせいだわ・・ルトと同じ・・だから
だからこそあの瞳に見つめられて求められてしまったら拒めなくなりそうだった。
だけどあの方はやめてくださったのね・・
でも同時にわからなくなる。
ライザール様には忘れられない方がいるはずなのに・・
なのに私にキスされようとするあの方の気持ちはやはりわからなかった。
王の戯れの意味などいくら考えても答えはでそうにない。
やめたわ、今夜はもう休みましょう・・
手の中にはライザール様からお預かりした鍵があった。
この鍵は身に着けていたほうが良さそうね。
いつでも必要に応じてお返しできるように・・