部屋に引き上げるために王と途中までご一緒することになり追及するチャンスが訪れた。

 

なにを尋ねるべきかしら?気になることはいろいろあるけれど・・・

 

「ライザール様は以前から私を御存じだったの?」

 

初対面にも関わらず、親しみをもって接して下さる王を見ていたら自然にそう思えてならなかった。

 

すると一拍の間の後、王はあっさりとお認めになられた。

 

「ああ・・それはもちろん。なにせ我が国随一の踊り子だからな。お前が考える以上に有名人だぞ?確かに我が国ではいまだに芸能に携わる者は地位が低いがフレイン辺りなら国民的な人気を誇る芸能人と呼んでも差し支えないだろう」

 

さすが他国の文化に詳しい方だけに言い得て妙だわ。

あちらの国ではブロマイドを販促したりファンクラブや握手会なども大々的に行われているらしいから。そう思えば確かに少し羨ましいわね。

 

芸能人は憧れの職業でもあるわ。

そんな方達と同列に思っていただけるなんてとても光栄だった。

 

「王にそう言っていただけるなんて光栄です」

 

手放しの称賛が嬉しくて笑みを返すと、ライザール様はまぶしげに目をすがめられた。

 

「素直な女だな・・やはりお前に頼んでよかった」

 

社交辞令だって言えるはずなのに不思議だけれどライザール様を前にすると本当の気持ちを知って欲しくなってしまう欲求に駆られる。

 

だからかしら?穏やかなライザール様の顔を見ていたら自然と私も笑顔になっていた。

 

密偵の私はご存じなくても踊り子としての私を知っててくださるのはやはり嬉しいものだわ。

 

だけど今の私は限りなく素の状態だったからお気に召していただけたのなら良かった。