「お嬢様・・こちらがお部屋でございます」

 

――まあ!

 

用意された部屋は二階の客間だった。

 

密偵の性で脳内ですでに立ち寄った場所はマッピングされていた。ほら王宮って万が一に備えた隠し部屋とかあるでしょう?

デッドスペースを予測する為の空間認知力には自信があった。

 

出入り口は一つで衛兵が配置された回廊を回り込まねば王のお部屋にはいけないが、実は室中からはすぐに隣りの王のお部屋へと行ける内鍵で繋がったいわゆるコネクティングルームとなっていた。

 

まさに近くて遠い距離というわけね。

 

「隣は王のお部屋でしょう?」

 

侍女に確認しながら念のためにノブに触れると鍵がかかっていた。

 

それはそうよね、残念。

 

「はい、鍵は王だけがお持ちでございます。こちらは王妃となられる方のためにご用意したものですから」

 

なるほど・・ハレムを持たない王ならではの配慮なのだろう。

王妃との秘め事もこれならば簡単ね。

 

ふと王の私室にあった天蓋付きの寝台が脳裏に浮かぶ。

二人でも十分な広さだったから、まあそういうことよね。

 

でも待って、鍵を持つのが王だけならいつでもこちらに来れるということ?

 

王が夜這いだなんて・・・・・・まさかね。