「見る目のない男ばかりなのか、それとも誰か心にいるのか・・はたしてどちらなのだろうな」

 

 

私を訝しむような眼差しで見ながらひとりごちるように吟味されるライザール様の口から漏れ出た言葉にドキリとしてしまう。

 

ええ、そうよ。おっしゃる通りよ、ライザール様

 

「・・ご想像におまかせしますわ」

 

だけどルトのことなど言えるはずもなく、今度こそ私は笑みでやり過ごすことしかできなかった。

 

ライザール様もそれ以上追及されなかった。

 

そもそもライザール様にルトのことは関係ないし、男性と同伴している時に他の男性の話をする気はおきなかった。

 

とはいえ実のところ私も王の女性関係は少し気にかかっていた。

お伺いしてみようかしら?

 

「ライザール様は?私などが王の婚約者の身代わりになってしまいご機嫌を損ねてしまう方はいらっしゃらないのですか?」

 

我ながら直球だとは思うけど、この際だから確かめておきたかった。別に嫉妬したからじゃないわ。あくまでも保身のためよ。

 

するとライザール王は苦笑された。

 

「相手にことかかないといいたいところだが・・あいにくといないな。私はハレムを持たないし心配せずともいい。・・・ここ数年来ずっと独り寝だ。お前を煩わせるような女はいない」

 

 

王ともなるとお立場もあるんでしょうけど・・・

 

にわかには信じられない告白ではあったけれど、たぶん私の顔にも複雑な表情が浮かんでいた。

 

だってそうでしょう?本来ならハレムに愛妾を侍らし放題が許されるはずの王が独り寝だなんて・・

 

精悍な顔立ちに精力的で濃厚なフェロモンを漂わせた王からは想像がつかなかった。