「私がですか?・・あの、逃げた方を探すのではなく?」
むしろその方が早いのではないかしら。
「ああ、それはやめた方がいい。あの娘は使用人の男と逃げたんだ。連れ戻せば事態がややこしくなるだけじゃないかな」
王の婚約者が男と駆け落ちしたなんて・・・なんてことなの。
「それにその駆け落ちの手配したのは他でもない僕だからさ~ははは!無駄無駄レイラ・アリのことは諦めなさい」
ええっ!?
「店主様・・・」
飄々とした顔で悪びれずにあっけらかんと言い切る店主様を前に呆然としてしまう。
「それに今回の依頼は舞妖妃の君にぜひにとの王のご希望もあってね。だから身代わりというよりむしろ本命だろう?そのつもりで王のお相手をしてくれればいいからさ」
王の婚約者は大貴族のアリ家のご息女レイラ様だったのね。なのに使用人と駆け落ちしたなんて・・他人事ながら青ざめてしまう。
もし事が露見すれば王に対する反逆罪になるはずなのに、よりにもよって王自らこれ幸いとばかりに私を身代わりにご指名されるなんて・・
「あの・・でも王ならハレムをお持ちでしょう?なぜわざわざ私に・・・」
いくらお役目とはいえ王の愛妾が集うハレムに入るのは気が進まなかった。