そうこうしているうちに、馴染みの面々に気づいたら囲まれていた。ロラン様とジェミルはいないようね。
一度はお返ししたけれど婚約発表前にライザール様からあらためていただいた婚約指輪を茶目っ気たっぷりにちらつかせて笑みで返す。
レイラ様のために用意したのだと思っていたけれど初めから私の為だけにライザール様が用意されていたものだった。
そりゃあそうよね私の指にぴったりですもの。愛が込められた指輪をするのはとても誇らしかった。
「この度愛するライザール様と婚約しました。もうすぐ人妻ですから」
「白娘子・・まさか貴方が未来のシャナーサ王妃になられる方だったなんて・・なんて行幸でしょう。ああ・・ライザール王が羨ましい」
感動で目元を袖で拭う仕草ですら優美な方ね皇驪様って。
「嘘だろ~~俺が遊学に行ってる間に王に抜け駆けされるなんて・・・そりゃあないよシリーン
」
対する希驪様は相変わらずのようだわ。
「あら、合コンに行ってらしたのでしょう?」
知ってるわよとばかりに覗き込んだ途端希驪様がどんよりとしたお顔になった。
あら?あらら?なにかあったのかしら??
「俺はッ・・あれを合コンとは認めたくない!あれはどう考えても世にも恐ろしい「BLオタ」のファンミだった!女とみれば見境ないロラン君が真っ白に固まったところ初めて見たっての!ジェミルも目を開けたまま気絶してたし
・・俺、初めて女の子って怖いって思った。しかも気絶したヤロー二人を抱えて撤収したんだよ!?あ、あの二人ならまだ使用人部屋で凹んでるからしばらくそっとしといたげて?」
「ジェミルがご迷惑をおかけしたのね、申し訳ございません希驪様」
もうジェミルったらなにをやってるのかしら。一介の使用人がよりにもよって燐帝国の皇子様に介抱していただくなんて・・ま、まあ私もライザール様に介抱していただいた身だけれど。
「いいって誘ったの俺だし・・BLオタ恐るべしだったけどある意味いい経験になったよ。あれしきのことで動揺するなんて俺もまだまだだな~」
BLオタ???なにかしら??
遠い目をされる希驪様にかける言葉が見当たらないわ。
いったいどんな恐ろしい目に合われたのかしら。
「あ、そうですわ・・結婚式にはぜひいらしてね」
言った途端希驪様がさらにどんよりとしたお顔になられた。
無性に気まずかったわね。
そういえばまだジェミルにはライザール様と結婚すること言ってないけど・・
まあ、今はなにがあったか知らないけれどそっとしておきましょう。