「・・・またお前と共に来たかった場所だ。良いところだろう?」

 

緑が生い茂り、水は枯れることなく潤沢な水を湛えていた。

そのオアシスの畔に石積みのカルゥーの墓があった。

 

いつしか砂漠を訪れた旅人達の間でオアシスを守護するものの墓と噂されるようになり、恩恵に預かった旅人達が感謝を込め崩れても崩れても石を積み今に至るらしい。

 

幾度砂嵐に見舞われても消え去ることのないまさに奇跡の光景と言えた。

 

王宮の庭で摘んだ花をカルゥーの墓前に供えて感謝の念とともにしばしの追憶にひたった。

 

「連れて来てくださってありがとう・・ライザール様」

 

あれから9年も経つのにこの場所が今も残っているなんて思わなかった。

 

「お前と共にこの光景を見ることができてよかった。カルゥーは今も尚私達の心にいるのだから。それにお前を私の妻に迎えることを真っ先に報告したかったんだ」

 

 

それはなによりもなお言葉だわ。

 

妻に、貴方の家族になれる日を夢見たことが叶うなんて・・・

 

「嬉しいです・・ライザール様。貴方にそう言っていただける日がくるなんて・・砂漠で別れた時、少女だった私にとってルトは兄のような方で憧れの存在でした。

 

だけど貴方と出会い、貴方が血を分けた家族が欲しいと打ち明けてくださったでしょう?あの時私も貴方となら「家族」になりたいと思ったのよ」

 

それは理屈ではなく女としての本能だった。

母性と言ってもいいかもしれない。

 

それまで密偵としてたくさんの男達を翻弄して欺いてきた私の中にずっと眠っていた情熱だった。

 

だけどライザール様は王で遠い方だったから一度はその気持ちを封印したけれど、再会した時、二度と失いたくないと思ってしまった。

 

それはおそらく私の本能がずっと貴方をただただ求めていたからだったのね。

 

真実の想いを抱いた方を慕う気持ちに抗えるわけなかったの。

だから貴方の胸に飛び込んで心に寄り添うわ。

 

「私の妻になり私の子を産んでほしい・・家族になろう、シリーン・・愛している」

 

 

ライザール様の一途な求愛を受け入れた私は求められるままに情熱的なキスを交わした。