「シリーン、起きろ・・・」
それは未明の出来事だった。
優しく揺り起こされて目を開けたらライザール様が覗き込んでいて悪戯な笑みを浮かべてらした。
!?
もちろんそこは私の寝台ではなかった。
昨夜の出来事がまざまざと呼び起こされていき羞恥してしまう。
「まだ夜明け前だがよく眠れたか?なら急いで支度しろ」
なんとかライザール様に頷いたら、ライザール様はさっさと身支度しながら私にも支度をするよう促す。
急なことであっても密偵の性で臨機応変な対応は得意だったから大人しく従う。
それからすぐに急かされながらお忍びで宮殿を抜け出した私達はラクダの背に相乗りして一路砂漠を目指した。
少女だった頃はルトの腕に込められていたけれど今は彼の広い背にしがみつく形だった。私だってラクダくらい乗りこなせるけど、久々に少女の頃に戻った気分を味わいたかったから。
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まだ明けきらぬ暗い空には星が輝いていた。
かなりの強行軍で辿り着いたのは砂漠の中のオアシスだった。
オアシスにつく頃には東の空が白みかけていた。
ラクダから降り二人そろって明け空を眺めながら静かなひと時を過ごした。
過酷な大地の中に現れたその奇跡のように美しい光景を共に見ることができた感動がこみ上げる。
ライザール様に連れて来られたのはカルゥーの墓のある場所だった。