思いがけない形で気持ちを確かめ合うことができた幸福感に包まれたまま私たちを乗せた馬車は王宮へと到着した。
別の馬車に同乗されていた皇驪様とヴィンス様がご挨拶にみえた。
「本日はありがとうございました、ライザール王・・白娘子、楽しいひと時でした。・・おや?白娘子なにか良いことでもあったのでしょうか。お顔が輝いてますね・・気になるところですが今夜はもう遅い、またの機会にいたしましょう、それではおやすみなさい」
優美にお辞儀をする皇驪様に続き今度はヴィンス様が礼を述べられた。
「ライザール王、お忙しい御身が若輩の我らのために一席設けてくださり感謝の念に堪えません。皇驪殿も貴重な秘蔵酒を快く譲ってくださり感謝している。いずれなにかの形で恩に報いたい。それからシリーン、甘美で幻惑の舞は見事だった。異国情緒を堪能できた、ありがとう」
お二人とも意味深な目配せをされたから、なぜ私がここにいるのかは察しがついておられるようだった。
でもまさか求婚されたなんて思わないでしょうね。
一夜の女としてライザール様が迎えられたとか思われてるかもしれないわ。
そう思ったらやっぱり気まずかった。
「ああ・・私も貴公らと率直な意見交換ができて良かった。会議はまだ最終日まで数日あるからぜひまた忌憚のない意見を聞かせて欲しい。楽しみにしている」
今のは社交辞令というより限りなくライザール様の本音でしょうね。
今回の会議の出席者の中でも特に彼のお眼鏡にかなった二人ですもの、その有能さは折り紙つきだった。
お二人も満更ではないご様子なのはお立場に見合った矜持と自負をお持ちだからだろう。
そんなお三方とご一緒できるなんて一介の踊り子としても密偵としても光栄の極みだった。
皇驪様とヴィンス様は間違いなく次世代を担う方達なのだから。