「でも待って・・・なら貴方はずっと私の居場所を御存じだったの?」
あれだけ探しても発見できなかったのに・・そう思えば胸が苦しい。
「いや・・もちろん初めからではない。だがお前を迎えにきたあの「店主」がなかなか曲者でな、それに「シリーン」という名で方々を探したんだ。
いくつかの手がかりを経てやっとのことで見つけたのが半年前だった。それから「カマル」に通ううちにお前のもう一つの顔を知りクライアントになったというわけだ。
もしお前が私を覚えていなかったら正体を明かす気はなかったんだが・・
だがどう変わろうとやはりお前はお前だった。相変わらず可愛らしくて魅惑的な女だから諦めきれなかった。」
「・・・ライザール様」
ライザール様の言葉は意外なもので胸が一杯になってしまう。
「貴方を・・ルトを忘れたことはありませんわ。私にとって人生最良の夏でしたから。もしあの時貴方が手を差し伸べて下さらなかったら意地を張ったまま砂漠の塵になっていたでしょう。
だけど貴方が背中を押してくださったから「帰る場所がある幸せ」に気づけたんです。感謝してもし足りませんわ」
私の心からの感謝にライザール様も穏やかな笑みで頷かれる。
「そうか、では私たちはやはり出会うべくして出会ったのだな。お前にはあんな格好つけたことを言ったが私もまだただの若造だった。
父に反発してこのまま放浪を続けてなんとかやっていけると信じていたし絶対戻るものかと思っていたが、結局私も意地を張っていたんだな。
いずれ王位を継がねばならない現実から目を背けていたんだ。
だがお前を説得するうちにそれは私自身にも当てはまることに気づけたというわけだ。
戻った私を父は責めなかった。あれは私にとって通るべき道だったのだろう、寄り道したおかげで未来の花嫁も救出できたのだからな」
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「花嫁って・・・まさか」
確かにライザール様と結ばれたいと思ったけれど、彼のいる場所が私の居場所になればいいのにって思ったけれど・・
「ああ・・私と結婚してシャナーサ王妃になって欲しい」
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王妃!?私が!?
「本気でおっしゃっているの?だって私はしがない踊り子で密偵で・・」
すべてわかった上でおっしゃっているのだとライザール様の確信に満ちた目が物語っていた。