すると一人っ子のライザール様が興味深そうな面持ちで言った。

 

「私は兄弟姉妹もいないからわからないが・・微笑ましいな」

 

 

ずっと独身でおられるライザール様は血縁がいないからか少し羨ましそうだった。

 

以前婚約者のフリをした時のこと、ライザール様とお話しする機会を得たが

 

家族に対する憧れがある王から「血を分けた子を持つことが夢」だと打ち明けあけられたことがあった。

 

その願いを共に叶えたい・・と思ってしまったことは秘密よ。

 

共に過ごした間始終一緒だったけれど王は紳士で私に指一本触れようとなされなかったけれどそれがかえって私の心を熱くしたのかもしれない。

 

情が移ってしまったといえばそうなのだけど、私はライザール様に対して芽生えた想いを封印したまま王宮を去った。

 

「あ、お客様をお待たせしてしまい申し訳ございません。あちらにお席を設けさせていただきましたのでご案内いたします」

 

事前にご連絡をいただいていたから本日は貸し切り御礼だった。

 

お食事やお酒も準備万端だけど王のご意向でスタッフはごく僅かだった。

 

厨房と楽師はいつもどおりだったけれどね。

 

皆さまに気兼ねなく会話を楽しんでいただくために人払いされていたから室内は閑散としていた。

 

私も後程踊りを披露するけれど今はホステスとしてお客様をおもてなししなくては。