「ではまた」
笑顔のハサン様と別れた後、自室で軟禁状態に置かれたが幸い部屋には私一人だった。
朔日まで僅かだというのにこのままではプランBに移行せねばならない。
そう思っていたら窓辺に店主様の使いの鳥がとまった。
!?
周囲を確認してから鳥からの文を開いて確認する。
そこには店主様の様態が悪化したことが暗号で記されていた。
――なんてことなの!
これで迷ってる時間はもはやなくなってしまったも同然だった。
私に許された時間は残り僅かだった。
ライザール様と会うこともできないまま焦燥だけが募っても今は大人しくしていることしかできなかった。
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騒ぎが起きたのは軟禁されて2日目の晩のことだった。
衛兵の怒号とともに行き来する音が廊下に響き渡った。
――何事!?まさかジェミル?
ジェミルとは事前に打合せ済みだから軽はずみな行動はとらないはずだったが、不安になってしまう。気をしっかり持たなくては・・目的と仲間の存在を気取られては意味がない。
部屋からは出ることはかなわなかったが耳を澄ますとやがて状況が見えてきた。
――暗殺者?もしや王になにか・・っ
王宮で暗殺騒ぎが起きたなら襲撃されたのはライザール王に違いなかったが、漏れ聞こえてくる音だけでは王がご無事かどうかまではわからなかった。
焦燥ばかり募らせていたら部屋に侍女達が続々とやってきて周囲を固めた。
「お嬢様・・ご注意ください。暗殺者ですわ!」
私はレイラ様じゃないとはいえ王からの指示なのだろう。
だが現場不在証明にはなるのは有難かった。
「王はご無事なの?相手は?」
「私たちにもわかりませんわ・・ああなんてことでしょう。宮廷は恐ろしいところだわ・・はやく本宅に戻りたい」
矢継ぎ早に質問してみたが、動揺した侍女達も詳しいことは知らないようだった。
暗殺者をかわすために安全な場所に避難するまであえて王の安否を隠しているのだろう。