それにしてもだからといって王を暗殺しようとするなんて・・
とはいえ駆け落ちの片棒を担いでしまった私としては心苦しくもあったから、せめての詫びに王に情状酌量を求めることにした。
「ライザール様、どうか寛大な処遇をお願い致します。事の発端はレイラ様とは言え力を貸した私にも責任はあるようです・・貴方の気が済むならば罰なら私が代わりに受けますわ」
私はレイラ様ではないからもとより何の権限もない。それでも人として見過ごすことはできなかったのだ。
店主様のための血を得るために王を守ったわけではなかった。
とはいえ目的を行使するためには今の私の判断は愚かなのだろう・・
けれど主を失ってしまいこらえ切れなくなった老い先短い侍女の気持ちを思うとやはり気の毒でならなかった。
「ほう?お前が代わりに罰を受けると?殊勝なことだな・・・。実質被害はなかったとはいえこれは紛れもない暗殺未遂に違いない。最悪死罪だが覚悟はあると?」
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私の覚悟を試すように問う王の双眸を迷わずに見つめ返す。
「ええ・・なんならその毒杯を煽っても構いません。それがお望みならば」
これで処遇が決まってしまうが、私だって王を量っていたからお互い様だわ。
判断はあくまでもライザール様に委ねなくては・・
目で訴える私の女心をわかってくださるといいけど・・
やがて王は嘆息されると「まあいい」と話を打ち切られた。
土壇場で暴露されたことで私がレイラではないことも認めることになってしまったけれど今更だった。
ダーラが謀った暗殺未遂事件は単独犯として速やかに処理された。
王は余程アリ家に恩を着せたいのかお咎めなしだったけれどアリ家は大変よねえ・・仮にも長年仕えたレイラ付きの侍女が王暗殺を企んだのだから大きな借りができてしまったようだ。
「お前には自室にいてもらう。・・・その心意気と危険を察知したことに免じて大目にみるが命が惜しいなら大人しくしていることだ」
ダーラはアリ家へと送り返されたが、私もまた軟禁されることになってしまった。
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本当に残念そうな様子のライザール様だけれど、レイラ様ではないと公に認めた以上しかたないことだった。
ダーラはアリ家の侍女で私のクライアントもアリ家だけに恐らく王は私を信用しきれなかったのだろう。無理もない。
辛うじて私が代わりに毒を口にしたことで疑いが晴れたのかもしれないが、信頼度が低ければもしかすると自作自演だと勘繰られたかもしれない
また先に毒見役が飲んでいたら王は私を疑ったはずだ。
間一髪だったってところかしら?
けれど暗殺が日常茶飯事とはいえ、今回の件は明らかにライザール様の心に影を落とすことになってしまいそれが残念でならなかった。
それにしても・・成りすましを見破ったならばお役御免のはずなのに・・
私を王宮に据え置かれるなんて・・目的を見破られていない以上やはり探りを入れられるおつもりなのだろう。
解放を訴えて王が了承すればここから去らなくてはならないけれど、それでは目的が果たせない。けれどあえて沈黙を守ればやはり他に目的があるのだと自ら認めることになってしまう・・なんて歯がゆいのかしら。