「初めまして・・・ダーラと申します」

 

声も低く落ち着いていたがなんだか無性に気になる女だった。

 

「あの方は・・アリ家の方?」

 

それとなく侍女に確認する。

 

本来ならそうだろうけれど・・もしかすると王の手のものかもしれない。

 

「ええ・・まあ。あの方は古くからのレイラ様の侍女だった方ですわ。」

 

――なるほど

 

では当然私の正体は気づいたわけね。かなりの古参なのだろう、若い侍女からは煙たがられているようだ。それになんとなく敵意をもたれているようだが理由は心当たりあるだけに気まずかった。

 

いざという時に私が「レイラ」ではないと証明するために王が呼ばれたのかも・・

 

なににせよ上手く立ち回らなければ王の血を手に入れるミッションを完遂できないわ。それだけはなんとしてもやり遂げないと・・

 

するとダーラが去り際に囁いてきた。

 

「秘密は守りますわ」

 

 

あら、私を脅すつもり?

私の秘密とはレイラではないということだろう。

 

随分意味深な言い方だった。何を企んでいるのかしら。

誰であろうと信用ならないのが王宮なのだから・・

 

・・店主様にお会いしたい・・それに潜入しているはずのジェミルにも会えずじまいだったけれどどうしているかしら?

 

今回の任務を引き受けた後、ジェミルに協力を依頼した。

 

いざという時の協力要員なのでいかなる時においても彼の方から行動を起こさないように言い含めておいた。共倒れては意味がないからだ。

 

月の満ち欠けが合図になっているからジェミルが動くとすればプランBに移行する朔日だけだった。

 

まだ少し時間はあるけれど・・どうなることかしら。