エピソード4 特濃蜜罠
だがそう思う一方で彼女には惹かれるものがあった。
本性を隠した彼女が私を王として男としてどう思うのか・・
謎めいた女の秘密を暴くために私は今夜彼女にゲームを仕掛けたのだが・・・
金梅酒を飲み酩酊した彼女はやっかいな女だった。
私にしなだれかかり誘惑したかと思うと、過去の奔放な男遍歴をぶちまける有様だった。そんな彼女が密偵を続けているならばまだ誰も彼女の心を捕まえた男はいないのかもしれない。
ほう?燐帝国の皇子たちと火遊びするとは・・なるほど。
なかなか良い趣味だ。どの男も若造とはいえ一流の者達だった。
それに熟れた彼女の体では彼らではとうてい物足りないだろう。
だが私はそう簡単に口説けはしないぞ?一緒にしてもらっては困る。
とはいえ私に跨ったまま彼女は身を火照らせていたし私自身も熱く高ぶっていた。
彼女の淫らな肉体を征服したい欲求はあったが自制心を働かせた。
一夜の恋で終わるにはもったいない女だったからだ。
今ここで抱いたとしても恐らく彼女は手に入らないだろう予感があった。
彼女が欲しいのは私の体か、心か・・それとも命なのだろうか?
できることならば私は彼女が秘めた謎をすべて解き明かしたかった。
このように才能に溢れた魅惑的なお前がなぜ密偵などを続けるのか?
この出会いを運命のものとすることができるのか否か・・
どうか私に教えて欲しい・・
「私が・・欲しいか?」
それはただの戯れからでた言葉ではなかった。彼女に欲して欲しい私の本音だ。
「王!!なにを・・!?」
動揺するライザを他所に彼女の顎を掴み甘く囁きかける。
「どうだ・・・私が欲しいか?」
散々口づけた艶やかな唇が笑みを象り、まるで誘惑するように応じた。
「ええ・・貴方が欲しいわ・・ライザール様・・貴方は?私を欲しいと思ってくださるの?」
まさに魔性の女だった。
ふっ・・・いいだろう合格だ。
「ライザ・・・水を寄越せ」
「どうぞ・・・」
水を所望する私の手にライザが恭しく水の入ったカップを手渡した。
水を含み彼女に口移しで飲ませると彼女は旨そうに飲み干した。
「はあっ・・美味しい・・ね、もっと~」
頬を上気させて催促するようにしがみつく彼女の気のすむまで根気よく水を与えた。
まったく手間のかかる女だが猫のようなものだと思えば可愛いものだ。
すうすうすう・・・・もう・・・飲めませ~~ん
結局彼女は目的を吐くことはなかったが・・
完全に酔いつぶれて無防備に眠る彼女の話を聞き出すのはもはや諦めるしかなかった。
まあこうなってしまったのは私のせいだが・・・
今夜はゆっくり休むがいい・・
お休み・・・婚約者殿