エピソード4 特濃蜜罠(自称ハサン(笑)の合コン㊙レポート
しかも問題はここからだった。
なんとすっかりただの酔っ払いと化した彼女は無礼講とばかりに王をお相手に勝手に女王様ゲームを始めてしまったのだ。
いきなり「席替え」と称して王の膝の上に腰を下ろした時はキャバじゃなくてクキャバだったー!と突っ込みをいれてしまったよ。
それどころかテーブルのつまみのクラッカーをつまみあげて口にくわえたかと思ったら王相手に「ポッキーゲーム」を仕掛けるわ…しかも王様嬉しそうだ~・・断らないのですよねえ
ブラックマンバの件を持ち出したかと思うと、王の胸にのの字を指で書きながら「蛇皮のブレスレット欲し~い」とおねだりする始末
しかも王の下半身をまさぐりながらヘナタトゥーを施しただけの全裸で大蛇を首にかけて記念撮影した話まで・・・自称レイラ嬢は設定を忘れて地が出ていたな確実に
もうレイラじゃないって認めたも同然だったがそれははなから分かっていたので王はなにもおっしゃらなかった。
思うに面と向かってはなかなか聞きづらい情報(男遍歴など)を聞きたかったというところだろうか?やれやれ・・
「こーさまと~き~さまと~ヤッちゃった」
挙句は燐帝国の甘酸っぱい思い出と兄弟丼の話までぺらぺらと・・・私、怖くて王のお顔見れませんでした
話の間も豊満な胸を王に押し付けてボディタッチしまくり・・ッパブだったか~
と内心突っ込んでましたね。
私の太ももの上に挑発するかのように投げ出した足に思わず見とれてしまったが、王の殺気を感じて触れることはかなわなかった。
こちらがしかけたとはいえ血の気の引くような宴が続き・・そしてついにその瞬間がきてしまった。
余程私が邪魔だったのか指さした彼女にベールを取るように言われてしまった時は恥ずかしながら動揺してしまった。
それは私のトラウマだったから・・・
生まれつきの皮膚疾患のせいで頬の皮膚が鱗状に角質化していた。
目にした者からの嘲笑に傷ついたこともあった。
密偵となった今では特徴となり印象に残ってしまう方が問題だったが長らく私を苦しめたものだった。
だが彼女は瞠目はしたが、けっして気味悪がることも嘲笑うこともなかった。
慈愛に満ちた澄んだまっすぐな瞳で見つめたまま祝福を授けるかのようにそっと頬に口づけたのだ。
その瞬間の私の胸は高鳴り・・彼女への敵愾心を失ってしまった。
だが見かねたライザール様が彼女を抱き寄せてその唇を奪い、私の眼前で抱擁を交わす二人はまるで絡み合う二匹の蛇さながらだった。
欲情してなお美しい炎のような女だった。
心を読み解かれないように隠してはいたが、やはり彼女はライザール様をお慕いしているのかもしれない。
無性にそう思えてならなかった。
無邪気なまでに奔放に振舞い私達雄の欲望を高ぶらせたまま彼女が王の腕の中で酔いつぶれて寝てしまったことで宴はお開きになった。
自室でのことだから王は彼女を抱き上げてお自分の寝台に運び込まれた。
お持ち帰りされるんですね・・・王
「興味深い女だ・・金梅酒でも堕ちないとはな」
酩酊こそしていたが欲望のたがをけっして外さなかったのは確かに見事だった。
そしてこうも思う・・彼女は本当に酔っていたのだろうか・・・と。
私を見据えた彼女の目はそれほど迷いがなく汚れなき無垢な眼差しだったのだ。
王に相応しい女なのかもしれない・・理屈ではなく本能でそう感じた。
それが・・・少しだけ残念な気がしてならないのですよ。