エピソード4 特濃蜜罠(自称ハサン(笑)の合コン㊙レポート

 

ライザール王から召集された私は、自称レイラ嬢にゆさぶりをかけるお役目を仰せつかった。

 

代々密偵をしている者として見事見極めてみせましょう。

 

自称レイラ嬢の油断を誘うためにライザール王は自室で酒宴の場を設けられた。

 

私も参加して王からいただいた燐帝国産の金梅酒をふるまう手はずになっていた。

 

まだ若いお嬢さん相手に容赦のない方だ・・

 

ちなみに初日の蛇騒ぎも王の発案の元実行したのは私だ。

蛇の気配をいちはやく察知した反射力や対処能力は熟練の密偵顔負けだったと記憶している。

 

元々アリ家の息女である本物のレイラ嬢が駆け落ちしたために急遽用意された替え玉の女だった。

 

ただアリ家もしぶとく秘密を死守したために雇われた女の出自は不明だった。

 

王におかれてはアリ家に貸しが作れるからと事を荒立てる気はない以上、追及はできないまま情報収集に徹することしかできなかった。

 

それにしてもあの自称レイラ嬢はなかなかしたたかな女性のようだった。

 

身体を調べれば即「生娘」ではないことが判明するだろうに、王は慎重なご様子で、彼女を泳がせるに留めていた。

 

もしかすると、気に入られたのかもしれない。

確かに美人だし愛想も良いが恐らくは密偵の類だろう女が王の傍に侍るのは密偵頭としては気が気ではない。

 

婚約の儀が整うまでは乗り気ではなかった王がやけに楽し気なのも気になるところだ。

 

10歳近くも若い娘相手に何を血迷われたのだろうか?しょ・・少女・・・ゴホッあせる

 

だが王は若さや美しさだけではなく彼女の人柄や頭の良さに興味があるらしい。

 

実のところわが国では希な女性のようだった。

 

しかも注意深く窺っていると、王の前と大臣達の前で態度を使い分けているようなのだ。

 

王に対しては打てば響くように鮮やかに応えるが、女性を見下す大臣達の前ではことさら初心で愚かな小娘という風に演じ分けて波風をたてずという風だ。

 

そういう計算ができることは大変好ましいと私も思う。

ここは魑魅魍魎が巣くう宮廷なのだから・・心を疲弊しないように己を維持しなくてはならない。

 

愛国心もあるようだし適うことなら密偵としてスカウトしたいくらいだ。

 

だがまずは王に対する忠誠度を量らねばならないだろう。

 

宴の時刻になり侍女に伴われて現れた彼女を一目見た私は・・

 

( ゚Д゚)№1嬢キター!?

 

と不覚にも思ってしまった。

 

上品ながら露出度の高い色気たっぷりのドレス姿で我々を悩殺するとは・・

 

王はことさらポーカーフェイスを装われていたが、上機嫌だったのはわかりますニヤリ

 

彼女を誘導するためにわざと王の両隣を開けておいたところ、彼女は当然のように我々の間に陣取った。

 

しかし彼女が席につき、私が酒をつくったらいつの間にかキャバではなくホストになってしまったんですよねえ・・・不思議です。

 

しかし冗談はそこまで、ここからが本番です。

 

あらかじめ用意しておいた仕込みありのグラスに目くらましのスパークリングワインを注ぎ彼女に手渡したあと、注意深く様子を窺ったところ驚くべき展開になった。

 

なんと金梅酒を口にしたにも関わらず顔色ひとつ変わらないとは・・・

 

特異体質か・・もしくは前に金梅酒を飲んだ経験があるとしか思えなかった。

 

燐帝国に渡航歴があるのかもしれない。

いやそれだけではなく王族との親交があるのかも・・・と心にメモをとりながら王を窺うと虎視眈々と彼女を見ておられた。

 

そこでダメ押しとばかりに特注の金梅酒をしみこませた梅の実を振舞ったのだがこれも失敗に終わってしまった。

 

あろうことか好物とばかりに全て平らげてしまった時は思わず顔がひきつってしまったよ。

 

やはり密偵にスカウトしたい逸材かもしれない。

 

彼女が初心な小娘のように頬を上気させたのは王の悪戯のせいかはたまた酒のせいなのか・・

 

王に目で促されるまま私が新しいカクテルを彼女のグラスに注いだところ、やけになったのか彼女は一気に飲み干した。

 

さすがの私も焦ってしまったよ・・あせる