そしてしまいには王相手に王様ゲームまでしかけてたのよねえ・・頭痛い。
「きゃはっは~いはいあたしが~女王様で~す!じゃあそこのお前!ベールとりなさ~い!!」
そしてあろうことか禁忌の命令をハサン様にしてしまったの・・
私の命令にハサン様は身を強張らせたけれどここぞとばかりにお邪魔虫のハサンを追及することにした私は容赦なかった・・酔ってたの。
「おい・・・」
ハサン様は躊躇した様子だったけれど・・ライザール様が止める間もなくベールを取り去った。
!?
たぶん今にして思えば彼が恐れていたのは侮蔑と嘲笑だったのだと思う。
これまでも気味悪がられて散々な目にあったのでしょう。
ああ、でも酔っ払いって怖いわ!
初めて見たハサンの顔は細面で色が白くて・・誰かに似ていた。
しかもその頬にある特徴が・・まるで蛇の鱗状に角質化していて・・
思わず身を乗り出してまじまじと見た私は彼の頬を両手で包み込みながらその瞳を覗き込んだ。
静かだけど孤独と痛みを抱えたオッドアイ・・だった。
ジェミル!?
ハサンはジェミルにとてもよく似ていた。彼が年取ったらこんな感じだろう。
気づいたら彼の頬に口づけていた。
大丈夫よ・・貴方は一人じゃないわ・・
本能のまました突然のキスに困惑するハサン様の頬をそっと指先で撫でる私を引き離すようにライザール様が抱き寄せて唇を奪った。
んんん・・・・っ
もう嫉妬深い方ね。心配しなくてもハサン様にしたのは親愛の情を込めただけのキスだわ。
でもライザール様との口づけは葛藤も愛も欲望もないまぜになった濃密なキスだった。
本能のおもむくまま舌を絡め合って貪りあう・・。
私は貴方の敵になる気はないのよ?信じて欲しいわ・・
「・・・が欲しいか?」
?
何かくださるの・・?
後になりライザール様はこの時「水」が欲しいかと尋ねられたのだと知ったけれど・・
ほろ酔いで上機嫌だったから欲望がダダ洩れてしまったのよねえ・・
「・・貴方が・・ライザール様が欲しい・・わ」
言った途端口移しで冷たい水を飲まされて、美味しかったから雛みたいに何度もねだってしまったわ。
そして満足した私はライザール様に抱き着いたまま眠ってしまったのだった。