卓上には水煙草の他に酒も各種並んでいた。
殿方二人はすでに洋酒をロックで召し上がっておられるようだった。
するとハサン様が笑顔で酒を勧めてきた。
「お嬢様にはカクテルなどいかがでしょう?おつくりしますよ」
あら、素敵・・
頷くとハサン様はシャーベットが入ったおしゃれなワイングラスにワインをそそいだ。
なんだか様になっているし手際もよい。
「どうぞ・・召し上がれ」
淡いロゼ色のスパークリングワインのようだった。
ワインならルーガンでもいただいたけれど・・・
「とても綺麗・・いただきます」
一口飲んだとたん・・甘い蜜の罠の味がした。
!?
それは知る人ぞ知る燐帝国秘伝の門外不出の禁酒だった。
ではあのシャーベット状のものがそうだったのだろう。
金梅酒と呼ばれる酒は高級酒として燐帝国の王侯貴族に親しまれているものだった。
しかし慣れたものでないとひどく酩酊してしまい、初心者向けの酒ではなかった。
噂ではその酒の特殊性を使い燐帝国以外においては捕虜の尋問にも使用されるらしい。
そんないわくつきの酒を濃いめで何気なさを装い振舞うなんて悪意があるとしか思えなかった。
私を酔わせてどうするつもり?
とはいえお生憎様・・金梅酒なら燐帝国でさんざんいただいたもの。
そもそもその狙いもあって皇驪様と希驪様に近づいたのだから・・
私とていつしくじって捕まるかはわからない以上、金梅酒を使用されても乱されないように訓練をしておきたかったの。
とはいえ乱れない私を見たら不信に思うわよね。
まあ特異体質ってことで言い逃れるつもりだけど。
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