それに正直なところ男の裸くらい見たところでさほどの動揺はなかった・・
!!
はずなんだけど、恥じらうのも忘れて見入ってしまったライザール様の裸体を目にした瞬間思いがけずに動揺してしまった。
あら、まあ!
さすが自信満々の方だけあるわ・・やだ、楽しみ
まじまじと見る私を横目に見ながら不敵に笑んだライザール様は気にした様子もなく湯に浸かる。
あら・・お尻も素敵だわ・・ふふ
逞しい胸板や締まった尻を見たら少しだけ気分が浮上したものの、成り行きで共に湯に浸かることになってしまった。
先に湯に浸かった彼を意識しながら服を脱ぎアクセサリーを取っていたら、待機していた侍女が風呂用のガウンを差し出した。
別にいらないんだけど・・あ、でもそうね今はレイラ様だったわね
今更だけれど恥じらうふりしておきましょうか。
手際よく髪をまとめてガウンを着たまま少し離れた場所で湯に浸かった。慎み深さの演出もあったけれど、近寄りがたい雰囲気があったから。
侍女達は気を使ったのか姿を消し広い大浴場には二人きりだった。
もったいないわよねえ・・
恐らく王が人払いをさせたのだろうが、貸し切りの湯に浸かるなんてものすごく贅沢をしている気分になってしまった。
ふと先ほどのトイの顔が浮かんでしまう。
あの子たちに足りないものは食料だけじゃなかった。
庇護もなければ教育を受けることもできないのだから。
・・・ああ、自分が嫌になるわ・・
トイのことがあったあとだから見合わせたけれど、それでもいずれは彼を誘惑しないといけないなんて・・・
もしライザール様がもう少し冷酷な方なのであればさほど心は痛まなかったかもしれない。
でも私が考えていた以上に王は孤独で葛藤を抱えた人間味溢れる方のようだった。
そんな方を誘惑して血をいただくことに良心の呵責を感じてしまう。
けれどそれが私の仕事・・なのよね。