エピソード3 アラビアンナイト第1夜

 

私がライザール様に対面できたのはヒラ―ル宮にレイラ・アリとして潜入したその日の夜のことだった。

 

「そなたがレイラ・アリか。よく来た婚約者殿・・私がライザールだ。貴女を歓迎しよう・・」

 

低く落ち着いた声の主だった。

 

初めてみたライザール王は背が高く立派な体躯の美男だった。

 

これまでも各国の王子達と親密になってきたが、雄々しいライザール王を私は一目で気に入った。

 

・・・凛々しいヴィンス王や乙女のようなロラン様とも違うし・・

 

麗しい皇驪様や軽いけど愛嬌たっぷりの希驪様とも違う趣よね・・

 

薄くも分厚くもない形のよい唇に口づけたい衝動に駆られた。

キスすればどの程度の経験値かわかるはず・・

 

三十路の王は若々しく精悍な顔立ちで褐色の肌、漆黒の巻き毛、そして特筆すべきはその眼光鋭い双眸だった。

 

それに彼のあの瞳・・・

 

燃えるような琥珀色の瞳に魅入られてしまいそうだわ・・

 

男としても魅力的だったけれどなによりも重要なのはライザール王が王としてとても有能な男だということだった。

 

さすが我が国をたった7年で復興させ維持してきただけはあるわ・・

 

長らく独身だった王は政略結婚を余儀なくされたというけれど・・

妻になる女性は大変かもしれないわね・・

 

顔だけで言ったらかなり美形だったけれど、唇は常にシニカルな笑みをたたえ、そしてその目が彼の本性を隠しきれてなかった。

 

彼は始終穏やかで礼儀正しかったけれど、その目が笑ってないのだ。

 

まるで裸に剥かれて心まで覗き込まれているかのようだった。

 

ふうん・・・なるほどね。思った以上に手ごわそうな男だわ・・