アスラを連れ去ったのはとある反社会的な組織だった。
だから私は店主様に内緒で事件を単独で調査して、彼女の居場所を突き止めた。
アスラ救出のためとはいえ男装して娼館に潜入したのよ?
お姉さま方に絡まれて大変だったんだから・・
でも一人の凄みのある美女に部屋に連れ込まれた時は絶対絶命だと思ったんだけど、驚いたことにその美女は女装したジェミルだった。
もうジェミルったら!
しかもジェミルが着ていた服は見覚えあるなって思ったら私の服だった。
ライザール様を誘惑するために奮発した露出度高めの服よ。
ひどいわ!
「・・・・あんた何してる!」
あ、珍しくしゃべったわ・・幻聴じゃないわよね?
「なんかジェミルの声懐かしい・・」
場の空気を読まない発言にジェミルの眉間に血管が浮かぶ。
あら、怒らせちゃった。話しかけてくれたことが嬉しくてつい口が滑ったわ。
腕を組み無言の圧をかけるジェミルに降参した私は事情を打ち明けた。
それにしてもよく私だってわかったわね・・・男装は定評あるのに。皇驪様や希驪様も褒めてくださったのに~
「は?あんたバカだろ・・バカだな」
!!?
またしゃべったわ!!しかもダメ押しでバカって何よ失礼ね!!
「帰れ!!ここはあんたみたいな女が来る場所じゃねえよ」
帰れって・・確かにこんな機会でもないと来ない場所よね・・
女の身では好ましい場所ではけっしてなかった。
やにさがった男も見たくないし
「・・・ジェミルのH」
女装してまでこんな場所に来るなんて・・・姉としてどうすればよかったのかしら
そんなに欲求不満だなんて・・ジェミルも男なのね。悪女にひっかかりませんように!
私はジェミルとだけは絶対に寝ないって決めてたから手解きはしてあげられないもの・・・ああ、でも心配だわ。
するとジェミルは一瞬で真っ赤になったかと思うと何事か喚いた。
「ちげーよ!!仕事じゃなければ誰が好き好んでこんな場所!!」
仕事って・・・そんなにまでして遊びにきたことを隠したいのね
・・・この子ったら
動揺したジェミルは年相応に見えた。
ふふ・・まだまだ可愛いわね。
「はいはい、そんなに照れなくても・・ね、お願い協力して?アスラを取り戻すのを手伝ってちょうだい?」
何故か赤いまま絶句したジェミルの協力を取り付けることができた。
さすが持つべきは密偵仲間だわ
今度お昼でもおごってあげましょう・・・でも待って!私の服を無断で漁ったんだからやっぱりなし!
もう!!あの服着るの楽しみにしてたのに!!
ジェミルの方が似合うなんて・・・がっかりだわ