鼻歌を口ずみながら時々ライザール様の質問に答えながらもさりげなく答えをはぐらかした。

 

私にだって秘密のひとつやふたつはあるのよ?

 

ピアスに腕輪にネックレスに指輪、アクセサリーから解放されたら身が軽くなった気がするわ。動くたびにシャラシャラと涼やかな音が鳴るようにベールや服にもコインがあしらわれているから意外と重いのよね。

 

汗を吸ったステージ衣装から夜着へと着替えましょうか。

 

新調したばかりのセクシーな黒のロングキャミソールよ。

スリットが入っていて足を強調できるわ。

 

でも誘惑したいわけではなくて、雰囲気を満喫したい気分だったから香水は練り香を選んだ。

 

髪や首筋や手首にほんの少しだけ塗るとほのかにイランイランの香りをまとうことができる。

 

絨毯の感触を楽しみたいから部屋では裸足で過ごすことが多いわね。

 

足元のおしゃれも見せたいし。

 

戻るとライザール様は思いのほか寛がれた様子でお茶を飲んでいた。

 

気に入っていただけたかしら?

あれ、実は燐帝国土産なのよね。上等な茶葉だから王のお口にも合うと思うわ。

 

女性の部屋がよほど珍しいのか、熱心に観察されていたライザール様は私を見た途端、獲物を捕らえたように目つきが鋭くなった。

 

ふふ・・お気に召した?貴方の為に新調したのよ?

 

やはり猫椅子を選ばれたのね、そうだと思ったわ。

 

気づいたら心理戦をしてしまうのよね。好きな方に少しでも喜んでほしいからいろいろ試してしまうの。

 

でもライザール様も私の気持ちを察するのが上手い。

 

私が食べたいものをさりげなくわかってくださるのよね。それとも私ってわかりやすいのかしら?

 

でもね、女が目で訴えた時に察して下さる殿方ってやっぱり素敵だわ。

 

とくに最近のライザール様は以前と変わられたように感じる。

用心深さは相変わらずだけれどそれはしかたない。

 

意図せぬ悪意というものもあるから。

全てを疑うのはキリがないし疲れるけれど、油断が死を招くこともあるのが王宮だった。

 

けれど私のことだけは信じてくださっているのはひしひしと伝わる。