道すがら「家族」や「子供」について話をした。随分微妙な話題ね。
いつもの議論ならもっと楽だったでしょうけれど、ライザール様が問うているのは一般論ではなくて私の本音だったから私も正直に答えた。
だって私達二人のこれからを考えたらどうしても大事なことでしょう?
もちろんそれに対するライザール様のお気持ちはわからないから
少しだけずるい方ね、って思ってしまったけれど・・
でも私の考えを聞いてくださるだけでも嬉しかったわ
結婚願望がないと答えたけれどその実わからない、としか言いようがない。
愛する方と結ばれることは嬉しいし、それにともなう責任が生じることも別に構わないわ。
一口に結婚生活といっても、ご夫婦によって様々でしょう?
ひとくくりにはできないはず。
ただ仕事と結婚の両立ができるかというと・・・
ライザール様が私の仕事に理解がある方だとしても難しいわね。
それに彼の「妻」っていうのが一番の問題だった。
もし正式に彼の妻となるならそれはこの国の王妃になるということですもの。
いくらなんでも無理でしょう?考えるまでもないわね。
そうは思っても考えてしまうのはあらゆるリスクについて考えずにはいられない密偵としての性だった。
密偵としてなら「ノー」だけど女としてなら「イエス」・・・かしら。