――私が傍にいて欲しい女はお前だけだシリーン!

 

「愛しているシリーン・・どうか私の妻に、王妃になり共にシャナーサを見守って欲しい・・私にはお前の愛も力も必要だ」

 

それはまぎれもない殺し文句だった。

 

愛だけでも欲望だけでもダメだ。

彼女だからこそ成しえる生きがいを与えなくては。

 

王妃の役割はまずは世継ぎを成すこと、それはすでに達成されつつある。

 

母性溢れる彼女ならば良き母になれるだろう。

 

世継ぎが望ましいが、正直私と彼女の子供ならどちらでも構わない。

 

それに女性が国を統治することも不可能だとは思わないからな。

 

生まれ落ちた場所や性別や血筋で将来が閉ざされることなどあってはならない。

 

遍く民が自らの可能性を試し模索してこの国の将来を支える力になるのだから。

 

その道筋を切り開くことこそ王たる私の役目だった。

 

それに彼女にできることは他にもある。

 

私の名代として国内外における外交も十分こなせるだろうし、文化

や教育面においても活躍できるだろう。

 

確かにこのシャナーサにおいてはまだ女性の地位は低いが、

シリーンには先駆者になって欲しい。

 

さあどうする?シリーン!あとはお前次第だ

 

私の手を取ってくれ!!

 

いかに言葉を尽くそうと、あとは彼女次第だった。

 

これまでの私達の関係や交わした言葉がその後押しをしてくれるだろう。

 

そしてシリーンは私の求婚を受け入れてくれた。

 

彼女は葛藤の末、密偵ではなく私の妻に、王妃になる道を選んだのだ。

 

それはひとえに私を愛して信じたからに他ならない。

その信頼に私はこれからも男として、王として応える。

 

いつか終わりを迎えるのその時まで・・手を携えて共に歩もう。

だが、私達の物語はまだ始まったばかりだ。

 

愛している、シリーンお前に巡り合えた私は幸運な男だ。

私が陰らぬように月のごとき清廉な光で私を癒して欲しい・・・

 

私を選んだことけっして後悔させないからな。

 

 

 

ピソード1終 月の女