結局はライザール様次第なのだわ。

 

彼がどうしたいか指針を示し、それを受け入れるか否かというだけ。

 

彼はこの国に必要な王で、責任があった。

私にできるのは彼の心の支えになることだけ。

 

舞妖妃をしていたから多少の人気とコネはあったけれど、最大のコネクションが王だったなんて。本当に縁は異なものね。

 

とりとめもなく浮かぶことを思案していたら、気配を感じた。

 

――ああ、この香り貴方の匂いだわ

 

振り向くとそこにはライザール様が佇んでいた。

 

いつからいたのか、彼は無言のまま私を見ていた。

 

トクン

 

罪悪感と情熱を秘めたその眼差しに絡めとられるまま溺れたくなってしまう。

 

ああ、きっと彼が望めば私は拒めない・・

 

少しだけ後悔してしまう。

 

流されないと決めたのに・・流されてしまいたくなる。

 

けれどどれだけ愛欲に溺れたくても、将来がかかっていた。

 

簡単に心は渡せないし、無謀な駆け引きだってしてみせるわ。

 

向かい合った私に開口一番ライザール様は謝罪した。

 

心から詫びる言葉に反発は感じない。不思議なほど心が穏やかだった。

 

ルト、そんな顔しないで?私はもう平気だから・・・

 

私は貴方の笑顔が好き、お願いだからもう一度見せてちょうだい

 

迷いなく謝罪を受け入れた私は頷き返した。

 

もうケンカはおしまいにしましょう?

 

察しのいい貴方なら私の微笑みだけでもわかってくださるでしょう?