処女を失ったことは私に様々な葛藤をもたらした。

 

初めてを愛する男に捧げたかったと思う一方、女として未熟な私ではライザール様を振り向かせることはできなかったのだとも思う。

 

現にジェミルに抱かれて以降、ライザール様の私を見る目が変わった気がするのだ。

 

私の肉体に注がれる熱を帯びた眼差しや、腰や肩に触れる彼の掌の感触を感じるたびに鼓動が跳ねた。彼の指しか知らないからより気になってしまう。

 

私が成熟した大人の女なら視線をかわして駆け引きを愉しめるのでしょうけど、気恥ずかしさから視線をそらしてやりすごすのが精いっぱいだった。

 

顔をそむける私の態度をライザール様が咎めることはなかったけれど、微かにため息をつかれるたびにとても苦しかった。

 

もしかするとライザール様は私が彼を嫌いになったと思っているのかもしれない。

 

それとも自意識過剰な子供だとでも思っているのかしら・・

 

どちらにせよ、彼はまだ私への興味を失っていないようだった。

 

問題はそれがどんな種類の好意なのか、ということだろうか。

 

ジェミルと私が恋人同士だと思っているのならば、ライザール様は私に横恋慕していることになる。

 

その上で本気で想っているのか、遊びたいだけなのか、ジェミルから奪いたいだけなのか私を試しているのか

 

・・・最悪なのは欲望だけを享受したいと考えている場合だろうか。

 

その場合は共有されてしまう可能性すらあった。

 

彼が処女を失った私ならば弄べると考えているのなら・・・私はきっと壊れてしまうかもしれない。

 

私があの二人を平等に愛せるのであれば可能性はあったが、生憎と私が愛しているのはライザール様だけだった。

 

ジェミルは大切だったけれどああなってしまった以上もう弟とも思えなかった。

 

恋とはなんと面倒なのだろう。

 

相手の気持ちが定かではない状況で、告白するのは思った以上に勇気がいることだった。

 

だからといってあんな気まずい状況の後では告白する気分にはなれないし、表面的な和解は果たした今でもライザール様を許して受け入れたとは言い難い心境だった。

 

本当に悩ましいわ・・いったいどうすればいいのかしら?

 

もう二度と流されるだけなんて嫌だった。

 

それは私の望みではなかった。