私がシリーンだとわかったとたん、ライザール様の態度は明らかに変わった。

 

私を見る目は全てを疑い詮議する王のそれではなく、ルトのような優しさに満ち溢れていた。

 

罪悪感を滲ませた彼の琥珀色の瞳を見るたびに、つきりと胸が痛む。

 

ああ・・彼も私を忘れていなかったんだわ・・

 

それがどれほど嬉しかったことか。長いこと暗闇にいた私にとってルトは唯一無二の希望の光だったのだから。

 

本当は今すぐにでもその胸に飛び込んで行きたかった。

でもライザール様を見たら、足がすくんでしまう。

彼にされたことはトラウマになっていた。

 

それほど彼の変貌は私の幻想を打ち砕くものだったのだ。

 

離れていた間、ルトに何があったのかしら・・・

 

ただの義賊だったルトが一国の王になり替わった以上、その道は苛烈を極めただろう。

 

しかも有能なルトは孤立無援の中、果敢に改革を断行し続けたった7年で国を富ませたのだから・・

 

出会った時は婚約中だったとはいえ、長い間彼は独身を貫いてきた。

 

でも裏を返せば遊びの相手は多数いたということだった。

 

しかも幾度なく閨で命を狙われたという。

 

女を見る目はあまりないのかしら?勇猛果敢だけれど数多くの挫折を乗り越えて今の彼があるのだわ。

 

彼の命を弄ぶような女達と同列に扱われたのは悔しかったけれど、一時はライザール様が少女誘拐事件に関わっていると思っていた私も心苦しかった。

 

私は正義のために彼に心の中で刃を向けたが、ライザール様から見たらあだなす存在と受け取っても致し方ないのかもしれない。

 

でもたくさんの女達を抱いてきたライザール様と違い、私は男達を誘惑してきたけれど、ジェミルとそうなるまで身持ちは固かったわ。

 

そう思えばジェミルとのことなんて些細なことなのかもしれない。

すくなくともライザール様にだけはとやかく言われたくないわね。