実に女の嫉妬は恐ろしい。
だがやり直せるならばもう一度彼女とやり直したかった。
→もう一度諦めずにやり直す![]()
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格別な温情により敗者復活とあいなった私は、ジェミルに抱かれて女になったシリーンの元へ向かった。
ジェミルとのことは私なりの配慮だったが、正直私自身処女を相手にすることに臆してしまったというのはあった。
自信過剰かもしれないが事実だ。
シリーンは私の部屋にいた。
トクン
私の顔を見た彼女の顔に後悔がよぎる。
予期せぬジェミルとの出来事が彼女の心に影を落としたようだった。
――すまない、シリーン
女にとってそれだけ初めてを捧げるということは特別なことなのだろう。
私自身ジェミルに譲ったことに後悔はあったが、今更手遅れだった。
シリーンに辛い想いを強いてしまったのは私だった。
だが私を選んでくれるのならばけっして後悔はさせない。
「シリーン、体はもう大丈夫か?お前には本当にひどいことをした。すまない、愚かな私を許して欲しい。謝って済む話ではないがな」
彼女の悲し気な顔を見たら自然と言葉がついて出る。
口説くより前に彼女の気が済むまで何度でも謝罪しなくては。
しばしの逡巡の後、シリーンは頷いてくれた。
彼女自身密偵として男達から情報を引き出した過去があった。
だからこそ私の中で彼女に対する先入観があったのだが、彼女にとって私はライザールではなくルトなのだとしたら、あの仕打ちは明らかな過ちだった。
それに私は確かにシリーンの肉体に惹かれてはいたが、彼女が私のシリーンだと知ってからはその心を欲した。
ならば尚のこと他の男と共有すべきではなかった。(まああれはあくまでも悪夢の話だから事実無根だ)
彼女を怯えさせないようにゆっくりと近づく。
用心深い私だが、今となってはシリーンのためならば命を捧げてもよいとさえ考えていた。
もちろん王として国民の暮らしを守る責務がある以上安易に投げ出すわけにもいかなかったが・・
私は二度と彼女を傷つけたくないのだ。
――愛しているシリーン
言葉にできなかったが、彼女は何かを感じ取ったのか微かな笑みを浮かべてくれた。