アンチ二重スパイの怒り大爆発の禁断エンドです。破滅フラグキター
昨夜の痴態は我ながら最悪だった。
私を交互に抱いた二人の男の平和そうな寝顔に殺意すら感じてしまう。
あんなこと・・あんなこと私は望んでなかったのに!許せない!
二人とも大嫌いよ!!
悔しくて唇を噛みしめてしまう。
一人は弟同然だったジェミル、そしてもう一人はルト・・私の初恋の人だった。
彼のした行為は大切な思い出さえも穢してしまった。
だいたいなぜこうなってしまったのか・・確かに誘惑に負けてライザール様に抱かれてしまったけれど、だからといって三人でこんな行為に及ぶなんて考えもしなかった。
ジェミルとのことはただの事故でしかなかった。でも繊細な彼のことを傷つけたくなかったから拒絶できなかっただけだった。
私を守るためにジェミルが手を汚したことに対する後ろめたさもあった。
でも考えてみれば私が償う必要があるだろうか?
それに初心なジェミルの拙さが私をいら立たせていた。
女としての喜びがあんなものでしかないなんて・・・
ライザール様のせいで正気を失ってしまった私はジェミルを拒めなかった。
どさくさにまぎれて想いを遂げただけのジェミルに対する愛情なんてあるわけなかった。そこにあるのは怒りだけだったが、不憫な生い立ちを知る分同情と憐憫だけがあった。
でも私を抱いて勘違いしてしまったジェミルはことあるごとにライザール様をけん制するようになってしまった。
別に私はジェミルの女でもないのに・・本当にいい迷惑。
ライザール様はライザール様で、私をいたぶったみたいなことを過去にも女達にしてきたのだと思ったら幻滅してしまった。
思い出のルトは優しくてさわやかだったのに・・・
私を辱めたくせに平然と口説いてくる厚顔なライザール様にも嫌悪を感じたけれど、でも子供っぽいジェミルに飽きていた私は彼の誘惑にのってしまったのだ。
思った以上に彼は素敵だった。ジェミルとは比べ物にならない彼の技巧に私はすっかり陥落してしまった。
でも同時に初心な私には見向きもしなかった彼が、なぜかジェミルとそうなったと知った途端興味を持ったことに不信感を募らせていた。
そしてついに彼の口から初めてはあえてジェミルに譲ったのだと聞かされた時に感じた衝撃は私を打ちのめした。
私が処女を失った途端解禁された狩りに興じたのだ。
それでも私を愛しているし諦められないと告白したライザール様は真剣に思えたから彼を受け入れたというのに・・・
彼の誘惑は甘美なまでにじわじわとしみこみ私の理性を狂わせた。
そして夢中で口づけていたところに番犬のごとき勢いで現れたジェミルが私の唇を奪い、男同士の奪い合いに発展したというわけだった。
でもそれなら私の気持ちはどうなるの?
選ぶ権利もないなんて・・・