女の愛だけは信じないなんて・・彼に何があったのかしら?
でも確かに、愛と利害が絡むととたんに女って残酷になれるものだから、ライザール王の不信感は間違っているわけじゃない。
でも損得勘定抜きで私はライザール王に惚れこんでしまっていたから、彼がどれだけ私を信用なさらなくても構わなかった。
愛ってそういうものでしょう?見返りは求めないものじゃない?
だからわかってくださらなくて結構よ・・
私が貴方を愛したいの・・ごめんなさい、こんな女で
貴方の良さをわかる人はたぶん探せばいるでしょうけど・・
今のところ私しかいないようだから許してね
彼の拘束を解くのは本当に賭けだった。ジェミルに失笑されてもしかたないわ。
彼がその気になれば逞しい筋肉のついた足で締め落とせたでしょうね。
でも彼は冷静だけど冷酷な暴君ではなかったから、私の暴挙も許してくれた。
たぶん私が彼を欲していたことにとっくに気づいていたから。
ずっと密偵をしてきて身体だけじゃなくて心まで熱くなれる男に出会えるなんて思わなかった。
だから彼が私を抱いてくれて嬉しかったわ
あんなに感じたのは初めてだった。
演技する必要もなかったわね。完敗よ。
彼みたいに自信家な男には初心な小娘のほうがお似合いなのかもしれないけど
でも彼ってやっぱり初心者向けの男じゃないのよね。
数々の男を相手にしてきたからこそわかるわ・・
ルーガン王国のヴィンス殿下や燐帝国の皇驪様もご立派だったけれど、たぶんそれ以上ね・・・