妻にさえ心を許さずに心の休まる場所もない王宮であの方はずっと王を続けるつもりなのだとしたら・・

 

本当になんて人なの。

 

そう思ったら少しだけ彼に同情してしまったわ

だから強引に事を進めて・・・彼を捕えることにしたの。

 

あんな牢獄のような場所で玉座にいる方だから少しの拘束なんて平気でしょう?

 

ライザール王は私をはなから信じていなかったし、彼に仇成す女だって見抜かれていた。

 

 

だからこそ私の気持ちに気づくことはなかった。

 

たぶん・・これが愛、なんだと思うわ

 

あれだけ身を賭して頑張っている方を少しでも癒してあげたかったの

 

もちろん私自身の私利私欲もあったけれどね。

 

彼がただ欲しかった。彼に触れたかった

 

何度もお預けをくらわされたから欲求もたまっていたし、いくら言葉で伝えようにもきっと彼には伝わらないわ

 

懸命に生きる飢えた子供の言葉に耳を傾ける彼だったけれど、私みたいな女には厳しい方だったから

 

そう思ったらとても切なかったわ。

 

信頼関係を築くには彼に近づいた私の目的は不純すぎたし時間も足りなかった。