ただのパフォーマンスではなかったしライザール王は独善的ではあったけれど偽善者ではなかった。

 

だから珍しく私の気持ちに迷いが生じてしまったの。

 

店主様のために心を鬼にして彼を誘惑したけれど結果は最悪だった。

 

私の思惑を見抜いたかのようにライザール様は私を拘束して、尋問しようとされた。

 

手っ取り早く私の体に聞こうとするなんて、密偵もできそうね。

 

だけどお生憎様、男との駆け引きには慣れているし、ジェミルを忍ばせてあったからもちろん勝算はあったわ。

 

でもそういうことじゃないのよね。

 

あんな形で彼とそうなってしまったことが残念でならなかった。

 

彼にはきっと愛してくれる女が必要なんだわ・・

だってその価値がある男だもの。

 

でも疑り深いライザール王は誰も寄せ付けようとしなかった。

 

私は確かに偽りの婚約者だったけれど、そもそもこの婚姻自体形だけの偽りに満ちたものでしかなかった。

 

愛する男と駆け落ちしたレイラ様は正しかった。人生は短いもの。

もし彼女が残ったとしてもおそらくライザール様を愛せなかったでしょうし互いの不幸になったはずだわ。

 

もちろんライザール様は偽りの笑顔で仮面夫婦をやり遂げる覚悟だったけれど、随分女を甘くみたものね。

 

真に愛されているかどうか多感なレイラ様にだってきっとわかったでしょうし、もちろん私にもわかってしまった。