やっぱり熱いわね・・・
容赦ない日差しを浴びたら燐帝国が少しだけ懐かしかったけどあの国に戻ることはないわ。仕事でお邪魔するかもしれないけどね。その時はよろしく。
男達と束の間戯れたってそう長くは続かない。気持ちの上でも未練はなかったし、心のどこか冷めた部分では仕事を円滑にすすめるためだって割り切っていた。
私はただの密偵だし、彼らには栄光ある未来があるもの。
悪い女にひっかかって時間を無駄にするものじゃないわ。
特権階級に生まれた彼らが本分を忘れるなんて許されるはず、
ないでしょう?
王であるより私との情事に溺れる男なんてこちらから願い下げだわ。
私だって女だから情に流されてしまいたいと思う時だってあるけれど・・
でももしそうなってしまったらきっとこの仕事は無理ね・・・
密偵は天職なのに・・・踊り子よりも・・ずっとね
だからこそ私の才能を耽溺してくださる店主様は私にとって大切な方だった。
彼とはもちろん男女の関係はなかったけれど、彼は私が必要として渇望しているものをわかっていたし、私も彼の役に立てるなら本望だと思っていた。
密偵を続けるために己に課した決まり事は、男に決して心を許さないことだった。
それなのに・・・あの男、ライザールは私の葛藤なんて簡単に消し去ってしまうほどの執着と存在感を刻み付けてしまった。
誰も信じず、誰にも心を与えない孤高の王
・・なんて不器用な男なの。
でもその実彼の心には国民と国に対する愛が溢れていた。
それが彼と対面して得た感想だった。