「あら、ライザール様、私用心深くて慎重な貴方を愛していましてよ?貴方の美点を探す楽しみを奪わないでいただきたいわ」

 

お人好しで愛想がいいライザール様なんて逆に想像がつかなかった。

 

「こいつめ、大人を揶揄うな。どういう理屈なんだそれは・・ふん、思った以上に一筋縄ではいかない女のようだな、お前は。ふむ、例えるならアレキサンドライトのようだぞ?光の当たり具合で色を変える宝石のごとき女だ」

 

宝石に例えられるなんて思いがけなかったけれど、外国にはそんな宝石もあるのね。

 

「でも私はやっぱりテロメアーナが好きですわ。紺青が綺麗ですもの」

 

色々な可能性を秘めていたって私はやっぱりライザール様の「女」でいたかった。

 

「ああ・・私もやはりあの石が好きだ。なんだ気が合うな・・・今度お前のためになにか見繕ってやろう・・楽しみにしておけ」

 

鉱山王のライザール様の言葉に思わず笑みがもれてしまう。

 

「ふふ・・嬉しいです、楽しみにしていますわね」

 

あら、それは素敵ね。私は平凡な女ですもの、愛する方が好きだと言ってくれて宝石をプレゼントしてくれるなんてやっぱり嬉しいわ。