「おい!!」
慌てたようにジェミルが言うのを無視して、ゆっくりと舌で味わい飲み下す。
遅効性の毒もあるから万全とは言えないけどたぶん解毒剤であることは確かね。
ジェミルを信じないわけじゃないけど、彼が私を利用してライザール様を毒殺する可能性は完全には払しょくできないもの。
「これは貰っていくわ。ただしもしライザール様に何かあれば私もご一緒するつもりよ」
ジェミルに復讐する気はなかった。所詮暗殺者は仕事を引き受けたにすぎないし、問いただしたところで自害するか黙秘するだけだろう。
今は一刻も猶予もない状況だった。ライザール様の元に戻らなければ。
「じゃあ元気でね、ジェミル・・・こんな再会で残念だわ」
それは私の本音だった。
でも私がライザール様を選んでしまった以上もうはや道は分かれてしまったのだから。
「シリーン!!」
未練を残すこともなく私を呼ぶ悲痛な彼の声に背を向け、ライザール様の元へ一路走る。
死なないで!・・・いえ、絶対死なせないわ!!
それは彼の妻としての私の覚悟だった。