そのままジェミルに腕を引かれたまま私は旧ハレムから外へと続く扉の前まで来た。
ここから一歩外に出れば私はもう戻れないだろう。
だから覚悟を決めるしかなかった。
さあここからが正念場よ、シリーン。ライザール様を救えるのは私だけ
「手を離して!!ジェミル・・私は行かないわ!」
彼の手に爪を立てて、反抗したらジェミルは余程驚いたのかあっさりと手を離した。
「シリーン・・怒ってるのか?・・・やっぱお前アイツのこと・・」
私から嫌われるのがよほど嫌なのかどこか臆病な目で見返すジェミルを前に私は優位さを悟る。
「ジェミル、ライザール様に使った毒の解毒剤、渡して・・持ってるでしょ?」
暗殺の手法は人それぞれだったが、わずかな傷でもダメージを与えるには毒は効果的だった。けれど万が一ということもあるため、解毒薬を所持している可能性はあった。
私だって解毒薬の調合はできるけれど、解毒薬があるならそれにこしたことはなかった。
今は一刻を争う状況だった。
「渡せるわけねえだろ・・俺はアイツを暗殺しにきたんだぜ?」
そうよね・・でもひっ迫状況で彼を説得している時間はなかった。