棘を隠したまま近づいた私をジェミルが強引に抱き寄せて私の唇を奪う。

 

その瞬間、走馬灯のように彼との思い出が脳裏を駆け巡った。

 

『大きくなったら俺と結婚しようぜ・・いいだろう?シリーン』

 

『うん・・・約束よ、ジェミル』

 

はにかんだ笑顔の幼いジェミルと交わした約束、そんな無垢な頃もあったわね。

 

でももう私はあの頃の私ではなかった。

私の心も体もすべてライザール様に捧げたのだから。

 

噛みつくようなキスは私が望んだものじゃなかった。

それでもライザール様を守るためにジェミルのキスを拒むことはできない。

 

だけど正直な心はジェミルを拒んでしまって、気づいたら涙が溢れてしまった。

 

ああ・・やっぱり無理だわ・・助けて、ライザール様

 

私が泣いてることに気づいたジェミルがはっとなって身を離した瞬間、ライザール様の振るった鞭が彼のいた場所を打つ。

 

よろけた私はライザール様の腕の中に抱き寄せられていた。

 

「ライザールさ・・・んん・・」

 

名を呼ぶ私の唇をライザール様がむさぼるように口づける。いつもより荒々しいけどそれすら私にとっては官能を誘うものだった。

 

暗殺者のジェミルはまだ臨戦態勢だし、キスしてる場合じゃないのに・・

 

そう思っても正直な体と心はライザール様を貪欲に求めてしまう。