衛兵を連れてこなかったことを悔やんでも遅い。

ライザール様を守りたいならそうすべきだったのに・・・

 

今の私にできるのは昔の誼で「彼」の良心に訴えかけることだけだった。

 

「やめて!お願い・・・・ジェミル」

 

動揺を誘うためにわざと彼の名前を呼んだとたん、驚くほどの効果をもたらした。

 

―――やっぱりジェミル、貴方なのね

 

攻撃を中断した彼らは私を見ていた。ライザール様の顔を見るのが怖かった。

 

暗殺者と知り合いだなんて共謀していると勘繰られてもしかたない状況なのだから。

 

「ねえ、貴方ジェミルなんでしょう?お願いだからやめて、ライザール様を殺さないで」

 

私への疑念を増したまま無言で状況を見守るライザール様の視線を感じながら正攻法で交渉を開始する。

 

「アンタが俺を覚えてたなんてな・・・でも無理だ」

 

しかしすぐに動揺を押し隠したジェミルが冷酷に応える。

 

依頼を受ける動機はそれぞれだから一概には判断できなかったが、ジェミルが金で動くとも思えなかった。

 

おそらく生き抜くためだろうか。

 

離れた後の彼の人生に何があったかなんて知りようがないけれど、幼馴染が暗殺者になるなんてショックだった。