カルゥーを見送った私はすぐにカマルを伴いライザール様の部屋を出るため、急いで服を身に着けた。
ライザール様を探すか、それとも先ほどの暗殺者を追うか・・レイラ様の様子を見に行くか・・ヴィンス王にご助力願うか・・どうしようかしら?
やはりライザール様の元に行きましょう
私が行ってどうなるものでもないけれど・・いざとなったら盾にだってなれるわ
「いきましょう!カマル・・急ぐわよ」
ライザール様はたぶん・・大浴場に向かわれた気がするわ・・
回廊を走りながら空を見上げる
なんてこと・・今夜は新月だったなんて・・・まずい
王の部屋から直接行ける階段を一気に降りて大浴場へと向かうとすでに騒ぎが起きた後だった。
通常配置されている衛兵の姿もなくて皆浮足立っているようで緊張感が漂っていた。
かがり火がたかれた現場周辺で指揮を執っていると思しきヴィンス王に声をかける。
「ヴィンス王!ライザール様はご無事ですか!?」
するとヴィンス王は厳しい表情のまま唸るように言った。
「ああ、ご無事だ。すでに暗殺者のこともご存じだ。今はご自分で衛兵を率いて周辺を捜索されている。貴女もすぐにレイラ殿のもとに向かうといい。ここは危険だ。おい!誰かこの方をレイラ殿のもとまでお送りしろ」
ヴィンス王のご判断はもっともだったし、私も主のレイラ様のことが気がかりだったけれど、それでも王命に背いてでもライザール様のご無事を確かめたかった。
「いえ、どうかレイラ様のことをお願いいたします。私はこの子とともにライザール様の元へ向かいますから。あの、できればなにか武器をお貸しください!」
さすがに手ぶらではあまりに心許なかった。