色仕掛けなんて心が凍り付いた殺人鬼にどこまで有効かはわからなかったけれど、女相手よりかはまだ可能性はあった。
こいつが女嫌いじゃなければだけどね・・
「ねえ、お願い・・・命だけは助けて・・怖いわ」
だから精一杯怖いふりをして彼を誘惑してみた。
シーツで胸は隠していたけれど、大きな胸は隠しきれないし誘惑には十分なはず。
瞬間、首筋に当たっていた刃が私の肌を傷つけまいというかのように引っ込むと同時に背後で息を飲む声がした。
あら?思った以上に効果あったわね。殺しは場慣れしてるようだけどあっちは初心なのかしら?
なら私のチャンス到来ね。覚悟なさい。
恐怖に怯えた女を演じたまま振り向いた私の眼差しと真正面から男と視線が交わる。
もちろん彼は網目状のベールで顔を覆っていたけれど、先ほどまであった殺気はすっかり消えていた。
「・・・・お前・・・まさか・・・シリーン?」
!?
え?なぜ暗殺者が私の名前を知ってるの!?
「え・・・っと誰?もしかして知り合い?」
尋ねた途端男に動揺が走り失言したとばかりに自分の口を押える
プロの暗殺者と思えない動揺ぶりだったけれどこんな野蛮な知り合いなんていなかったはず。
きっと人違いね。