生娘にはない成熟した色香をまとうシリーンの魅惑に気づいたら引き込まれていた。

 

淫らに踊る腰つきや挑発するような眼差しに幾度なく気持ちが高ぶってしまった。

 

しかも彼女はただの踊り子ではなく王の女だった。

 

正当なシャナーサ王妃のレイラ殿に付き従ってきた添い嫁だというから驚きだった。

 

まあ確かに王にとっては王妃付きの侍女はつまみ食いとしては十分守備範囲だったし、女達も寵を受ける機会を虎視眈々と狙っているものだ。

 

絶世の美女であるシリーンは主の命に従う従順さと、運命さえも手繰り寄せるしたたかさも持ち合わせている強運の女に見えた。

 

ルーガンの王である俺に物おじすることもなく目を見据えたまま自分の意見をはっきりと述べる鮮烈な彼女は美しかった。

我が国ではお目にかかれない類の女だった。

 

けれどそのくせライザール王と話すときは恥ずかしそうに伏し目がちな顔で初心な小娘のように頬を染めるのだ、彼女は。

 

男に合わせて与える印象を変えるのはそう容易いことではない。

だがそれを苦も無く自然にやってのけた。

 

優美な手で弓を握る姿も様になっていた。

 

スナギツネを一発で仕留めたあの瞬間のハッとするような眼差し、彼女はまさに神話の女神のようだった。

 

直前まで生き物の命を奪うのを躊躇う葛藤すら見せたのに、王の期待に応えるために彼女は葛藤をかなぐり捨てた。

 

そしてさらに彼女の印象を決定づけたのが狩場での出来事だった。

 

女豹に襲われながら難なく場を収めるとは・・

 

一歩間違えば惨事になっていただろうに。