宮殿内は閑散としており狩りの後だけに皆一様に疲れた顔で休憩しているようだった。

 

ライザール様は部屋で一人水煙草を片手に寛がれていた。

 

やけにさっぱりしているのはヴィンス王と共にオアシスで水浴びされていたからのようね。

 

ライザール様ったら本当に水も滴るいい男だったわ

 

さすがに私は遠慮したけど帰りの道中ラクダの背に揺られながら汗臭くないか気になってしまったのよね。

 

妙に静かだと思ったらカルゥーとカマルの姿がなかった。

たぶん中庭でお散歩中かしら。

 

「今日はお疲れさまでした、ライザール様。ご心配をおかけしてごめんなさい」

 

声をかけると彼は微かに瞠目したようだった。なにかおかしいだろうか?

 

王の傍に行くからには身だしなみは完璧だったはず。

 

「ああ・・今日は生きた心地がしなかったぞ、クロヒョウすら手なずけるとは恐れ入る。私はどうやらお前を見誤っていたらしい。人形遣いの操る傀儡ではなくお前自身が猛獣使いだったとはな」

 

 

なんだかその言い方にデジャブを感じてしまう。レイラ様が言っていたのはこういうことね。思考回路が似ているらしいから。

 

もしかしたら彼も私に手なずけられたとでも思っているのかしら?

 

獅子王のライザール様は私の手に負える方でもないと思うけれど・・・まさかね。